最近、やっとテレビでも4月に行われた衆議院東京15区補選での悪質な選挙妨害について取り上げられた。先日にはその選挙妨害の疑いがあるとして、政治団体「つばさの党」の事務所など関係先に警視庁が家宅捜査に入ったと報じられた。
東京15区補選では自民党が候補擁立せず9人の候補が乱立したことで注目されていた。その選挙戦では特定の候補の団体が複数の候補達の街頭演説時に大音量での演説をかぶせる、ヤジを飛ばしまくる、クラクションを執拗に鳴らす、車で移動中の候補に対してストーカーのように追い回すなどの行為が問題視された。
上記いずれも「つばさの党」によるもの。とにかく彼らの選挙妨害は常軌を逸していた。
とにかく自分達の質問に答えるまでは執拗に妨害行為を繰り返し、複数の陣営は街頭演説の告知もできなくなっていた。体調不良に陥った候補もいた。このような行為が続けば、一歩間違えると見学しているだけの一般人にも被害が及ぶ可能性がある。実際、ネット上の動画では、ある候補の応援に駆け付けた区議の方が首根っこ当たりをつかまれて投げ飛ばされたこともあった。
選挙時のトラブルといえば、2022年7月8日に参院選での演説中に安倍晋三元総理が殺害されたことが衝撃的だ。今回のつばさの党による暴挙で今後も選挙時に危険なトラブルが起きないか心配されるところ。今夏には東京都知事選がある。4月の補選では小池百合子都知事が応援していた乙武洋匡候補も妨害されていただけに、暴挙再発の可能性は否定できない。もちろんこれ以上惨事は起きてほしくない。
さすがに国会でも各党に動きがみられた。例えば日本維新の会は、具体的な妨害行為を明記した上での公職選挙法の改正案を出している。当然のことだろう。
一方でこの維新案に反対する議員もいるが、それは間違いだ。表現の自由を委縮させてはいけないというのが理由だが、表現の自由は暴力的行為を容認するものではない。選挙においては「聴衆が演説を聴取することを困難にする行為」があってはならない。表現の自由を履き違えて聴衆の聴く権利を台無しにすることは許されない。
選挙に出馬した候補だけでなく一般人の安全を守るためにも、今後の選挙に向けて厳正な処罰や適切な法改正が必要ではないだろうか。選挙は国民が政治に対して審判を下す数少ない機会。それを台無しにしてほしくない。せめて小学生くらいのお子さんから「大人として恥ずかしくないのかよ!」といわれるような事態にはならないでほしい。